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新年度のスタートに当たって
市民の皆さま、職員の皆さんおはようございます。
職員の皆さんには、日々、それぞれの職務に真摯に取り組んでいただいていますことに、感謝を申し上げます。
本日から新しい体制で平成29年度の業務がスタートいたします。
新年度の業務開始にあたりまして、各部局で取り組むべき重点施策等について申し上げます。
第3次実施計画
まず、第3次実施計画について申し上げます。
昨年12月に改訂した2011高知市総合計画に基づく、平成29年度から4カ年の第3次実施計画がスタートします。
改訂後の総合計画では、南海トラフ地震対策の加速化や、人口減少問題の克服に向けた地方創生の推進という2つの柱を中心に、各分野の垣根を越えて、施策を横断的に連携させていく「維新・創生8大エンジン」に反映させながら、取り組みを進めてまいります。
併せて、新たに各施策について個別の成果指標を設定し、PDCAサイクルの下、実効性を高めながら、着実に推進してまいります。
第3次実施計画の初年度となる平成29年度は、「南海トラフ地震対策と地方創生の推進強化」を中心に、実施計画登載事業等を推進し、「にぎわいと暮らし安心のまちづくり」の実現をめざします。
南海トラフ地震対策
次に、南海トラフ地震対策について申し上げます。
まず、津波避難対策及び長期浸水対策の取り組みについて申し上げます。
「津波から命を守る対策」として、避難タワー等のハード整備は平成27年度末で一定完了し、平成28年度からは、レベル2での浸水が想定される「地区別津波避難計画」の本格的な検証を、種崎地区をモデルに実施しており、平成29年度以降も地区別津波避難計画の見直しや、津波避難ビルへの資機材の配備等を進めます。
平成28年度には、津波避難ビルにおける孤立者の早期救助・救出に向けて、高知県防災関連登録製品に認定されている上空への救助サイン用資機材「RESCUE REQUEST」(レスキュー リクエスト)を津波避難ビルへ整備するとともに、飲料水の備蓄についてもさらに計画的な配備を進めます。
また、長期浸水想定地域の住民の方々5,000人を対象に防災意識調査を実施し、この調査結果を反映した津波避難シミュレーションを高知県が実施していますので、今後、これらの結果を踏まえ、具体的な救助・救出計画を策定してまいります。
次に、木造住宅の耐震化の促進について申し上げます。
南海トラフ地震から市民の生命・財産を守るためには、住宅の安全性を高めることが不可欠であり、木造住宅の耐震化を推進しています。
木造住宅の耐震化を加速するには、申請者の負担の軽減が最も有効であることから、本年6月をめどに、耐震改修費助成額の上限額を17万5千円引き上げて、現行の92万5千円から110万円に引き上げることとしています。
通常、耐震改修の工事費用は120万円程度が最も多く、120万円を例にとりますと、今般の補助上限額の引き上げにより、個人の自己負担額が現在の27万5千円から10万円に軽減されることになりますので、耐震改修の加速化につながることを期待しています。
新庁舎整備
次に、新庁舎の整備につきましては、昨年6月に建設工事に着工後、旧庁舎地下部分の解体工事を終了しており、今後、新庁舎建物部分の液状化対策として、県産材の丸太約16,000本を利用した地盤改良工事を進めます。
平成29年度は、新庁舎を支える杭工事のほか、基礎・地下躯体工事を進めるとともに、免震装置の取り付け工事を行い、平成31年6月末の完成、同年秋頃の本格的な供用開始をめざします。
併せて、市民の皆さまが利用しやすい市民サービスの在り方の検討を進めており、新庁舎完成までの間、市民の皆様、職員の皆さんには、大変ご不便をお掛けいたしますが、ご理解とご協力を賜りますようお願いいたします。
消防署所再編
次に、消防署所の再編について申し上げます。
(仮称)北消防署は、昨年3月から建設工事に着手しており、本年10月の開署をめざして、順調に工事が進捗しています。
(仮称)北消防署では、高度救助隊の現場対応力強化のため、マンションなどの中層階が地震でつぶれる「パンケーキクラッシュ」と呼ばれる被害に備える、本市独自の訓練装置を全国で初めて設置することとしています。
検討中の(仮称)中央消防署につきましては、本年5月末までの予定で実施設計作業を行っており、敷地内の防火水槽等の工事を経て、来年1月には建設工事に着工し、平成31年度上半期の開署をめざします。
(仮称)中央消防署では、中高層階の建物災害に対応できる四国最大の30メートル級の訓練塔の建設を予定しており、階毎に間取りを変えて、マンションやホテルを再現するなど、高層火災の実践に即した訓練塔として整備してまいります。
地方創生
次に、地方創生の取り組みについて申し上げます。
平成27年国勢調査の確定値によりますと、高知県の人口は、前回調査との比較で5年間に36,180人もの減少となっており、本市の人口についても6,203人減少しており、少子高齢化の課題先進県である本県の実態を如実に表す結果となっています。
県人口に占める本市人口の割合は、約46パーセントとなり、年々増加傾向にあることから、県都としての本市の役割が、さらに大きくなってきています。
こうしたことから、県域全体の発展を見据え、県との連携の下、県内市町村との共存共栄の関係を保ちながら、これまで以上に県域全体のけん引役としての役割を発揮していくため、昨年から「連携中枢都市圏」の形成に向けた取組を進めています。
現在は、庁内に発足させたプロジェクトチームを中心に、県の協力もいただきながら、連携事業のブラッシュアップ作業を進めており、各市町村との丁寧な事務協議を行いながら、本年12月をめざして連携中枢都市圏の形成に精力的に取り組んでまいります。
長浜南部地域の振興
次に、長浜南部地域の振興について申し上げます。
平成27年10月に策定した「高知市まち・ひと・しごと創生人口ビジョン」において、長浜南部地域における平成72年の将来人口推計では、平成22年と比較して御畳瀬地区では81.5パーセントの減少、浦戸地区は61.7パーセントの減少と市内最大の減少率となっており、コミュニティの維持や地場産業の衰退が強く懸念されています。
一方、中山間地域や市内中心部においても人口減少が見込まれていますが、土佐山百年構想や中心市街地活性化基本計画などの振興策に取り組んだ結果、コミュニティや地域に根ざした産業の衰退に一定の歯止めをかけることができており、長浜南部地域においても沿岸部における活性化のモデルとなるような、総合的な振興計画を策定していく必要があります。
計画の策定に当たっては、地域の皆さまとの協議を重ねながら、平成29年度の早い段階で、具体的な振興策の検討を始める協議会組織を立ち上げてまいりたいと考えています。
現在、地域が抱えるさまざまな課題の洗い出しやコミュニティ計画をはじめとする関連計画の進捗状況などについて、データ分析等も行いながら、庁内関係各課において現状認識の共有を図っているところであり、庁内横断的なプロジェクトチームを新たに発足させ、人口減少問題を総括する地方創生推進室を中心に検討を進めてまいります。
中心市街地活性化基本計画の策定
次に、中心市街地活性化の取組につきましては、現行計画にハード・ソフト合わせて57事業を登載し計画的に進めており、中心市街地のにぎわいを取り戻しているところです。
一方で、現行計画策定時の平成24年と平成28年の歩行者通行量の比較では、中央公園から西側商業エリアの通行量が増加しているのに対して、東側商業エリアの通行量が減少傾向にあるなど、新たな課題が生じてきています。
現行計画は平成29年度で終了することから、昨年12月に第二期中心市街地活性化基本計画策定検討委員会を立ち上げ、現状の分析や課題整理を行っているところであり、今後、第二期計画に向けた具体的な事業構築を検討し、平成30年3月までに内閣総理大臣の認定をめざします。
また、新図書館西敷地につきましては、昨年2月に新図書館西敷地利活用検討委員会を設置し、先月、委員長から当該敷地に相応しい機能について、「広場機能」など4つの機能を上位A評価とする報告をいただいたところです。
当該敷地は、中心市街地の活性化を図る上で重要な立地特性を持った貴重な公有地であり、多くの市民・県民の皆さまがその活用について高い関心を持たれていますので、検討委員会の検討結果を基に、議会のご意見もいただきながら、西敷地利活用についての基本方針を策定してまいります。
観光振興
次に、観光振興の取り組みでは、3月4日に、俳優の高橋英樹さんや女優の広末涼子さんをお迎えしたオープニングセレモニーを皮切りに、2カ年にわたる「志国高知 幕末維新博」が華やかに開幕しています。
本市の施設では、「龍馬の生まれたまち記念館」と「自由民権記念館」が博覧会の地域会場となっていますので、新たな設備の導入や関連する企画展を順次実施し、さらなる誘客を図ります。
また、昨年11月に四国経済連合会と合同で、台湾・高雄市での観光キャンペーンを実施したところ、デパートでの物産販売、よさこい観光PRが非常に好評であり、デパート側からのご提案も踏まえ、平成29年度は、よさこい鳴子踊りの踊り子を派遣し、約500万人の人口規模を有する台湾南部地域での誘客活動を展開してまいります。
次に、桂浜公園再整備の取り組みでは、昨年10月に基本計画を策定し、11月には市民の皆さまを対象にしたシンポジウムを開催したところです。
平成29年度は、国が進める浦戸湾三重防護の取り組みも考慮しながら、PFI等の事業手法の検討や対話型市場調査等を実施し、今後の整備手法の絞り込みを行ってまいります。
また、平成28年度のクルーズ客船の高知新港への寄港が、過去最高の30隻となり、1年間で約81,000人という大変多くのお客様が高知にお越しいただいています。
平成29年度についても既に、本年2月末現在で、予約・仮予約を含め56隻の寄港予約をいただいており、年間で約167,000人の外国人観光客等が高知を訪れることが見込まれますので、リピーターの確保に向けて、さらなる受入体制の充実を図ってまいります。
子ども・子育て支援
次に、子ども・子育て支援の取り組みについて申し上げます。
まず、子どもさんに係る医療費につきましては、本年3月1日現在で、拡充対象の小学生の99パーセントに当たる14,908人に対して受給者証の交付を行っており、医療機関等での受診の際にご活用いただいているところです。
併せて、高知市版ネウボラ構想の実現に向けて、地域子育て支援センター等の地域拠点を核にしながら、妊娠期から子育て期までの、切れ目のない支援を行うこととしています。
各地域における細やかな支援を行うための「子育て集いの場」については、各小学校区1カ所以上の設置をめざしており、現在、民生委員・児童委員さんなどが中心になって取り組んでいる「子育てサロン」が11カ所開設されています。
また、昨年10月から開始した家庭訪問型の産後ケア事業では、助産師が利用者の自宅を訪問し、心身のケアや育児のサポート等の支援を実施しており、今後も、制度の更なる周知を図るとともに、利用を希望される方々のご意見も伺いながら、支援の充実を図ります。
中学校給食
次に、中学校給食について申し上げます。
中学校給食の完全実施に向けて、設計が完了した造成工事に一部着手するとともに、新たに給食を開始する中学校の配膳室につきましても順次整備を進めています。
今後は、平成30年度までの継続事業として、2カ所の給食センターの建設工事を進めるとともに、給食センター内に設置する厨房機器の調達業務等に取り組んでまいります。
また、新しい給食センターでは、大規模災害時等における炊き出しが可能となる防災拠点としての機能を併せ持つ計画としており、議会や地域の皆さまからのご意見をいただきながら、平成30年度中の中学校給食の完全実施に向けて精力的に取り組んでまいります。
学力向上対策
次に、学力向上対策における「英語教育強化推進事業」について申し上げます。
本事業は、高知市立学校の生徒の英語力を「聞く」「話す」「読む」「書く」の4技能別に生徒一人一人の習熟度を客観的に測定し、英語力の向上をめざして個々の生徒への具体的な支援を行うとともに、次期学習指導要領で求められている英語力を育成するため、英語科教員の授業力の向上を図ることを目的としています。
英語検定3級程度の力を有する生徒の割合を平成28年度調査の29パーセントから35パーセント以上に引き上げることを目標に、国際社会に対応できる新たな英語教育をめざしてまいります。
新年度に向けて
さて、職員の皆さんには、本日から新たな体制で、それぞれの重要課題に取り組んでいただくことを期待しています。
各職場におきましては、職員間の意思疎通を十分に図り、現場での知恵を出していただきながら、各事業に精力的に取り組んでいただきますようお願い申し上げまして、新年度のスタートにあたっての挨拶といたします。
本年度もよろしくお願いいたします。