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歴史万華鏡コラム 2019年6月号

歴史万華鏡
高知市広報「あかるいまち」より

特別天然記念物ニホンカモシカ

6月号写真

 ニホンカモシカ(カモシカともいう)は、一九五五年に国の特別天然記念物に指定された偶蹄目ウシ科に属する日本固有種で、本州、四国、九州に分布している。雌雄ともに、頭には一対の角がある。ニホンカモシカの角は、ニホンジカのように毎年生え変わることはなく、一生伸び続ける。

 四国では、香川県では記録がなく、愛媛県ではかつて生息していたことがわかっているが、確実な記録が五十年以上得られていないことから、愛媛県は二〇一四年に絶滅宣言を発表した。高知県と徳島県に生息しているが、近年生息数の減少が報告されてきている。そのため、環境省はレッドリストで四国地方のカモシカを絶滅のおそれのある地域個体群(LP)、高知県はレッドリストで絶滅危惧2類(EN)に指定している。

 二〇〇〇年ごろまでは、高知県と徳島県の境にある剣山地周辺や馬路村魚梁瀬地域などで多くのニホンカモシカが暮らしていることがわかっていた。しかし、二〇一〇年ごろから上記の地域での生息情報が減少し、その周辺部で多く確認されるようになってきている。二〇一三年六月七日には、高知市工石山に仕掛けた自動撮影装置でニホンカモシカが撮影された。かつて生息の中心であった剣山地や馬路村魚梁瀬からは、かなり離れた地域での確認である。この後も工石山周辺ではニホンカモシカが撮影されているようで、もしかしたら既に繁殖も行われ、新しい分布域となっているかもしれない。一方東へ目を向けると、徳島県海陽町や高知県室戸市などの海岸近くで目撃されている。室戸市では、佐喜浜や室戸岬周辺の車の交通量が多い国道五十五号線のまわりでの目撃例が多く、交通事故の発生が心配されている。

四国にすむニホンカモシカ、今後の動向が注目されている

 

四国自然史科学研究センター 理事 谷地森 秀二

 

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※このページは、高知市広報「あかるいまち」に掲載されている「歴史万華鏡」のコーナーを再掲したものです。