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歴史万華鏡コラム 2020年4月号
高知市広報「あかるいまち」より
スポーツ文化 -高知市総合運動場-
四月に高知で聖火リレーが行われる。スポーツは歴史学・経済学などあらゆる方面から語られてきた。一方で文化として認識されたのは、最近である。フランスのマルセル・モースは「スポーツは一方で社会の反映であり、他方で社会の発展と変容に関わる社会事実」と言っている。スポーツとは何か、という答えは千差万別であるが、遊びから誕生しているという点は共通している。西山哲郎は「体育は遊びを排除したのに対して、スポーツは遊びを目的とし、成果主義でありながら、遊びであろうとしている」と述べている。
高知県では大正時代から野球・漕艇・庭球・陸上競技・水泳が行われ、昭和六年に大原町に陸上・野球兼用運動場が設置され、昭和十一年にプール、昭和十五年には相撲場が寄贈されている。現在の総合運動場の骨格が見える。これらの施設は改修や増築が行われ、拡大されてきた。高知市には武道場や弓道場もあり、学校の体育館は、市民に開放されている。各時代の人気スポーツや競技人口が多いスポーツを中心に、施設が充実したことが分かる。
現在、世界でも競技人口が増えているのはサッカーである。日本サッカー協会は育成年代に対し、選手自らが課題を解決し、自立した考えができる指導を推奨している。オシム元日本代表監督は「育てることと勝つことは矛盾しているようで、矛盾しない」と言っている。スポーツには遊びながら学べるシステムがセットされている。Jリーグ加盟チームがない七県の一つが高知県である。よってJ加盟の基準を満たすスタジアムや練習場がない。高知県には「くろしおキッズ」という有望な小学生を発掘し、運動能力の向上に取り組み、トップ選手を育てる事業がある。スポーツを通して子どもたちが育成され、障害のある人やパラアスリートたちがどこでも練習ができ、老若男女が生涯スポーツを楽しむには環境が必要である。生涯スポーツができる場所が増え、高知市の施設にサッカースタジアムが加わるとうれしい。
豊永郷民俗資料館 学芸員 釣井 龍秀
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※このページは、高知市広報「あかるいまち」に掲載されている「歴史万華鏡」のコーナーを再掲したものです。