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歴史万華鏡コラム 2021年6月号
高知市広報「あかるいまち」より
わたしたちの歴史
わたしたち―地球上の生命―はどこから来たのだろうか。それは138億年の宇宙の歴史と関わりがある。わたしたちの体を作っている炭素、酸素といった「元素」は、すべて宇宙、星で作られたのだ。今回は、科学の研究から分かってきた「わたしたちの歴史」に触れてみたい。
138億年前、ビッグバンと呼ばれる大爆発で宇宙は始まった。この大爆発によって、水素とヘリウムという「元素」が作り出された。これらの元素が、現在ある全てのもののもとになっているのだ。
宇宙に漂っていた水素やヘリウムの元素は、やがて互いの重力によって集まっていく。濃く集まった部分は、その中心で水素の核融合反応が起こり、そのエネルギーにより、明るく光り輝く星となる。
星の内部では、その一生をたどる間に、元素の核融合反応がさらに進み、炭素や酸素、鉄などの元素が作り出される。そして、太陽の十倍以上の質量を持つ星は、一生の終わりに超新星爆発と呼ばれる巨大な爆発を起こして最期を迎える。この爆発の膨大なエネルギーによって、金やウランといった、鉄よりも重い多くの元素が作り出される。
超新星爆発の際、その星を作っていた元素、内部で作られた元素、超新星爆発によって作られた元素は、爆発の衝撃波によって宇宙空間に広がっていく。これらの元素はやがて、広がった先にある水素などの元素と共に再び集まっていき、新しい星の材料となる。その新しい星の内部でも、さまざまな元素が作り出されていく。このようにして、星の誕生と最期を繰り返しながら、元素が作り出されていったのだ。
そして、わたしたちの太陽も星のうちの一つである。138億年前から作り出されてきた「元素」が集まり、46億年前に太陽―太陽系が誕生したのだ。その第三惑星が、生命の星「地球」である。約40億年前に誕生し、現在まで絶えることなく続いている、わたしたち―地球上の生命―。そこには、この宇宙と同じ、138億年の歴史があるのだ。
高知みらい科学館 学芸員 治良 真
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※このページは、高知市広報「あかるいまち」に掲載されている「歴史万華鏡」のコーナーを再掲したものです。