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市長コラム新風洋々 2024年05月号
高知市広報「あかるいまち」より
桜前線
ことしの桜は高知で最も早く花開きました。
桜には、入学式や卒業式、入社式など希望に満ち溢れる人々の思いを後押しする力があります。多くの出逢いと別れを見届け、美しく、時に優しく、はかなさが魅力ですよね。またこの季節、脳裏に浮かぶのは平成23年3月11日に発生した東日本大震災後の桜です。荒れ果てた大地に残った桜。震災後、俳人・長谷川櫂氏がこのような句を詠まれました。
人々の 嘆きみちみつるみちのくを 心してゆけ 桜前線
読み上げただけで込み上げるものがあります。被災間もない東北地方。かけがえのない家族や友を亡くされた方、家や職場を失い途方に暮れる方など、明日への希望を見いだすにはまだ時間が必要であったあの時。どんな思いで桜は咲いて、どんな思いで被災された人々は、その桜を眺めていたのか…今でも考えます。
ことしも、高知市の桜は美しく咲き誇りました。復興が始まった能登半島にも桜前線は進んでいきます。どうか桜たちには、力強く進んでもらい、どうか能登の皆さんに勇気や希望を運び、励ましの力となることを望むばかりです。
このコラムを読んでいただく頃には桜が散り、山の緑が徐々に濃くなり、穏やかな春から、新芽の息吹を感じさせる力強さを持った初夏へと、季節は移り変わっていることでしょう。
目に青葉 山ほととぎす 初鰹(山口素堂の句)
初ガツオも北上中ですね。
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※このページは、高知市広報「あかるいまち」に掲載されている「市長コラム 新風洋々」のコーナーを再掲したものです。