本文
第424回市議会定例会 議案審議結果
市長提出議案
議案番号 | 議 案 名 | 結 果 |
---|---|---|
市第 117号 | 平成22年度高知市一般会計補正予算 | 原案可決 |
市第 118号 | 平成22年度高知市下水道事業特別会計補正予算 | 原案可決 |
市第 119号 | 平成22年度高知市中央卸売市場事業特別会計補正予算 | 原案可決 |
市第 120号 | 平成22年度高知市国民健康保険事業特別会計補正予算 | 原案可決 |
市第 121号 | 平成22年度高知市収益事業特別会計補正予算 | 原案可決 |
市第 122号 | 平成22年度高知市農業集落排水事業特別会計補正予算 | 原案可決 |
市第 123号 | 平成22年度高知市住宅新築資金等貸付事業特別会計補正予算 | 原案可決 |
市第 124号 | 平成22年度高知市介護保険事業特別会計補正予算 | 原案可決 |
市第 125号 | 平成22年度高知市後期高齢者医療事業特別会計補正予算 | 原案可決 |
市第 126号 | 平成22年度高知市水道事業会計補正予算 | 原案可決 |
市第 127号 | 高知市火災予防条例の一部を改正する条例議案 | 原案可決 |
市第 128号 | 高知点字図書館事業振興基金条例制定議案 | 原案可決 |
市第 129号 | 高知市暴力団排除条例制定議案 | 原案可決 |
市第 130号 | 指定管理者の指定に関する議案 | 原案可決 |
市第 131号 | 指定管理者の指定に関する議案 | 原案可決 |
市第 132号 | 指定管理者の指定に関する議案 | 原案可決 |
市第 133号 | 指定管理者の指定に関する議案 | 原案可決 |
市第 134号 | 支払督促の申立てについて | 原案可決 |
市第 135号 | 調停の申立てについて | 原案可決 |
市第 136号 | 和解に関する議案 | 原案可決 |
市第 137号 | 固定資産評価審査委員会委員の選任議案 | 同 意 |
市第 138号 | 人権擁護委員推薦についての諮問議案 | 異議なき旨答申 |
議員提出議案
議案番号 | 議 案 名 | 結 果 |
---|---|---|
市議第82号 | ヒトT細胞白血病ウイルス1型総合対策を求める意見書議案 | 原案可決 |
市議第83号 | 脳脊髄液減少症の診断,治療の確立を求める意見書議案 | 原案可決 |
市議第84号 | B型肝炎訴訟の早期全面解決を求める意見書議案 | 原案可決 |
市議第85号 | 米価大暴落に歯どめをかけるための意見書議案 | 原案可決 |
市議第86号 | 燃油減免制度の継続を求める意見書議案 | 原案可決 |
市議第87号 | 地方経済の活性化策を求める意見書議案 | 原案可決 |
市議第88号 | 切れ目ない中小企業支援及び金融支援策を求める意見書議案 | 原案可決 |
市議第89号 | TPP交渉に反対する意見書議案 | 原案可決 |
市議第90号 | 政府に対し万全の危機管理体制の構築を求める意見書議案 | 原案可決 |
市議第91号 | 公共交通機関への支援を含む総合的な交通体系の構築を求める意見書議案 | 原案可決 |
市議第92号 | 国民健康保険に対する国庫負担の増額を求める意見書議案 | 原案可決 |
市議第93号 | 公費負担拡大で介護保険制度の改善を求める意見書議案 | 原案可決 |
市議第94号 | 受診抑制を拡大する70歳から74歳の窓口負担1割の引き上げに反対する意見書議案 | 原案可決 |
市議第95号 | 将来を見据え大学予算の大幅な増額を求める意見書議案 | 原案可決 |
可決された意見書の内容
ヒトT細胞白血病ウイルス1型総合対策を求める意見書
ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)は,致死率の高い成人T細胞白血病(ATL)や,進行性の歩行,排尿障害を伴う脊髄疾患(HAM)等を引き起こす。国内の感染者数(キャリア)は100万人以上と推定され,その数はB型,C型肝炎に匹敵する。毎年約1,000人以上がATLで命を落とし,HAM発症者は激痛や両足麻痺,排尿障害に苦しんでいる。一度感染すると現代の医学ではウイルスを排除することができず,いまだに根本的な治療法は確立されていない。
現在の主な感染経路は,母乳を介して母親から子供に感染する母子感染と性交渉による感染であり,そのうち母子感染が6割以上を占めている。このウイルスの特徴は,感染から発症までの潜伏期間が40年から60年と期間が長いことである。そのため,自分自身がキャリアであると知らずに子供を母乳で育て,数年後に自身が発症して初めて我が子に感染させてしまったことを知らされるケースがある。この場合,母親の苦悩は言葉では言いあらわせない。一部自治体では,妊婦健康診査時にHTLV-1抗体検査を実施し,陽性の妊婦には授乳指導を行うことで,効果的に感染の拡大を防止している。
平成22年10月6日,厚生労働省は,官邸に設置されたHTLV-1特命チームにおける決定を受け,HTLV-1抗体検査を妊婦健康診査の標準的な検査項目に追加し,妊婦健康診査臨時特例交付金に基づく公費負担の対象とできるよう通知を改正し,各自治体に発出した。これにより全国で感染拡大防止対策が実施されることになる。そのためには,医療関係者のカウンセリング研修やキャリア妊婦等の相談体制の充実を図るとともに,診療拠点病院の整備,予防,治療法の研究開発,国民への正しい知識の普及,啓発等の総合的な対策の推進が不可欠である。
よって,政府においては,HTLV-1の感染拡大防止に伴うHTLV-1総合対策を推進するため,下記の項目について早急に実現するよう強く要望する。
記
1.医療関係者や地域保健担当者を対象とした研修会を早急に実施すること。
2.HTLV-1母子感染対策協議会を全都道府県に設置し,検査体制,保健指導,カウンセリング体制の整備を図ること。
3.相談支援センターを設置し,感染者及び発症者の相談支援体制の充実を図ること。
4.感染者及び発症者のための診療拠点病院の整備を推進すること。
5.発症予防や治療法に関する研究開発を大幅に推進すること。
6.国民に対する正しい知識の普及と理解の促進を図ること。
7.発症者への支援,福祉対策を推進すること。
以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
提出先:内閣総理大臣/厚生労働大臣
脳脊髄液減少症の診断,治療の確立を求める意見書
脳脊髄液減少症は,交通事故やスポーツ外傷等の身体への強い衝撃が原因で,脳脊髄液が漏れ,減少することによって引き起こされ,頭痛,目まい,耳鳴り,倦怠感等,多種多様な症状が複合的にあらわれるという特徴を持っている。
ことし4月,厚生労働省より,本症とわかる前の検査費用は保険適用との事務連絡が出された。これは,本来,検査費用は保険適用であるはずのものが,地域によって対応が異なっていたため,それを是正するため出されたものである。これは,患者にとり朗報であった。しかし,本症の治療に有効であるブラッドパッチ療法については,いまだ保険適用されず,高額な医療費負担に,患者及びその家族は依然として厳しい環境に置かれている。
平成19年度から開始された脳脊髄液減少症の診断,治療の確立に関する研究事業(当初3年間)は,症例数において中間目標 100症例達成のため,本年度も事業を継続して行い,本年8月についに中間目標数を達成した。今後は,収集した症例から基礎データをまとめ,診断基準を示すための作業を速やかに行い,本年度中に診断基準を定めるべきである。そして,来年度には,診療指針(ガイドライン)の策定及びブラッドパッチ療法の治療法としての確立を図り,早期に保険適用とすべきである。また,本症の治療に用いられるブラッドパッチ療法を,学校災害共済,労災,自賠責保険等の対象とすべきである。
よって,国においては,脳脊髄液減少症の診断及び治療の確立を早期に実現するよう,以下の項目を強く求める。
記
1.脳脊髄液減少症の診断,治療の確立に関する研究事業においては,症例数において中間目標( 100症例)が達成されたため,本年度中に脳脊髄液減少症の診断基準を定めること。
2.脳脊髄液減少症の診断,治療の確立に関する研究事業においては,平成23年度にブラッドパッチ治療を含めた診療指針(ガイドライン)を策定し,ブラッドパッチ療法(自家血硬膜外注入)を脳脊髄液減少症の治療法として確立し,早期に保険適用とすること。
3.脳脊髄液減少症の治療(ブラッドパッチ療法等)を,災害共済給付制度,労働者災害補償保険,自動車損害賠償責任保険の対象に速やかに加えること。
以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
提出先:衆議院議長/参議院議長/内閣総理大臣/総務大臣/文部科学大臣/厚生労働大臣/国土交通大臣
B型肝炎訴訟の早期全面解決を求める意見書
日本では,法律によりすべての国民,住民に集団予防接種が実施されていたが,その際の注射器の使い回しによって,数多くのB型肝炎ウイルス感染被害者を生んでいる。
この問題については,平成18年6月に最高裁判所が国に法的責任があることを明白に認め,21年12月に成立した肝炎対策基本法においては,国自身が集団予防接種により肝炎ウイルス感染被害者を生んだことの責任を認めている。
このような状況の中,集団予防接種によるB型肝炎ウイルス感染被害者の救済を求める訴訟が,全国10地方裁判所で係争中である。現在,国は裁判所の勧告に従って和解協議に応じるとしながら,増税論を突如公表したり,最高裁判所で法的因果関係が確定している集団予防接種とB型肝炎被害との因果関係を軽視するなどして,不誠実な対応をとり続け,全面解決を引き延ばしている。提訴後解決を待たずに亡くなった原告は既に11名を超え,解決まで一刻の猶予も許されない。
B型肝炎は慢性肝炎から肝硬変,肝がんに進行し,あるいは慢性肝炎を経ずして突然肝がんを発症することもある極めて深刻な病気である。原告のみならず,多くのB型肝炎患者は,今後の症状の悪化に対する不安や多額の治療費の自己負担,そしていわれなき差別,偏見にも苦しみながら日々生活している。
よって,国においては,B型肝炎訴訟の速やかな解決を図るとともにB型肝炎対策を一層推進するため,下記事項に取り組まれるよう強く要望する。
記
1.集団予防接種による注射器の使い回しによって被害を受けた被害者が原告となったB型肝炎訴訟において,速やかに被害者に謝罪し,被害者全員を救済すること。
2.肝炎患者にとって,経済的負担の心配ない医療費助成制度の整備を進めること。
3.肝炎患者に対する差別,偏見をなくすための正しい知識の啓発活動を進めること。
以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
提出先:衆議院議長/参議院議長/内閣総理大臣/法務大臣/厚生労働大臣
米価大暴落に歯どめをかけるための意見書
農林水産省は,米戸別所得補償モデル事業によって米の需給は均衡し,米価は安定するとしてきたが,相対価格は下落を続け,平成22年産の9月の相対価格は前年を14%, 2,000円も下回る事態に至っている。
各地のJAが示した概算金は1万円程度,中には 7,000円台という驚くべき水準で農家に衝撃を与えている。今農村では,農家が余りにも安い米価に失望し,無策で冷淡な政府の姿勢に憤りを募らせている。こうした事態を生み出した最大の原因は,戸別所得補償を口実に価格対策はとらないと公言してきた政府の姿勢にあることは明らかである。
この数年来,生産費を大幅に下回る米価が続いている中で,生産者の努力は限界を超えており,かつて経験したことのない米価の下落が,日本農業の大黒柱である稲作存続の土台を破壊し,それはまた国民への主食の安定供給を困難にし,政府が進める米戸別所得補償モデル事業さえも台なしにするものと考える。
私たちは,米の需給を引き締めて価格を安定,回復させるためには,政府が年産にかかわらず,過剰米を40万トン程度,緊急に買い入れることが最も効果的であると考える。
よって,政府に対し,米価下落対策として,直ちに40万トン程度の買い入れを行うことを求める。
以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
提出先:内閣総理大臣/農林水産大臣
燃油減免制度の継続を求める意見書
これまで農漁家の経営に貢献してきた免税軽油制度(1リットル当たり32円10銭)が,地方税法の改正によって,このままでは平成24年3月末で廃止される状況にある。
また,現在,政府が昨年,1年間延長したA重油の免税・還付措置(1リットル当たり2円4銭)も廃止される状況にある。
免税軽油とは,道路を走らない機械に使う軽油について軽油取引税(1リットル当たり32円10銭)を免税するという制度で,農業用の機械(耕運機,トラクター,コンバイン,栽培管理用機械,畜産用機械など)や船舶,倉庫で使うフォークリフト,重機など,道路を使用しない機械燃料の軽油は,申請すれば免税が認められてきた。
軽油,A重油の減免措置がなくなれば,今でさえ困難な農漁業経営への影響は避けられず,軽油,A重油を大量に使う畜産農家や野菜・園芸農家を初め,本県産業の中心である農漁業経営への影響は深刻である。制度の継続は,地域農漁業の振興,食料自給率を向上させる観点からも有効であり,その継続が強く望まれている。
よって,政府に対し,下記事項の措置について強く求める。
記
1.免税軽油の制度を継続すること。
2.A重油の免税・還付措置を継続すること。
以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
提出先:内閣総理大臣/財務大臣/農林水産大臣/経済産業大臣
地方経済の活性化策を求める意見書
地方の経済,雇用は依然として極めて厳しい環境に置かれ,地域間格差もますます拡大している。今必要なことは何よりも地域で仕事を生み出すことであり,その上で雇用の維持,創出や失業者支援の抜本的強化などを強力に推し進め,地方経済の活性化を図らねばならない。
こうした地方の厳しい状況を認識し,国は国民生活を守る責任ある立場から,自治体が思い切った対策を打てるよう大胆に支援すべきである。
地方では,真に必要な公共事業の推進や農商工連携の拡充,観光振興の拡充など,地域の実情に応じた経済対策が求められている。特に,学校や公共施設の老朽化,耐震化対策や橋梁や上下水道など社会資本ストックの改修等は住民生活を守る上でも,今後進めていかねばならない。
よって,政府においては,以下の項目を含め,地域に即した事業支援による地方経済の活性化対策を速やかに実施するよう強く要請する。
記
1.地域活性化交付金の拡充を含め,自治体に対する予算を大幅に拡充すること。
2.厳しい雇用状況の中で,自治体における雇用創出がより図られるよう重点分野雇用創造事業の要件緩和など拡充策を講じること。
3.老朽化した学校施設等社会資本の再生整備を推進するため,財政的支援(老朽施設改造工事費の国庫負担対象の拡充など)を含めた対策を図ること。
以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
提出先:内閣総理大臣/総務大臣/文部科学大臣/厚生労働大臣/経済産業大臣/国土交通大臣
切れ目ない中小企業支援及び金融支援策を求める意見書
現在,中小企業を取り巻く環境は,消費の低迷,デフレに伴う低価格競争,急激な円高など厳しい状況が続いており,7月から9月期の中小企業景況調査によると,中小企業は製造業を中心に依然厳しい状況にある。それに対し,政府の経済対策は逐次投入の手法で景気回復への明確な方針を全く示すことはなく,政策の予見性が欠如していると言わざるを得ない。政府が行った為替介入もさしたる効果を生むことなく,このまま円高を放置することは,製造業を中心とした中小企業の減益をさらに深刻化し,一層の産業の空洞化が懸念される。
このような状況であるにもかかわらず,政府は緊急保証制度の延長打ち切りを決定し,中小企業金融円滑化法も時限を迎える。中小企業にとって最も重要な資金繰り支援を打ち切ることで資金が困窮すれば,事業が衰退し雇用に影響する。また,成長分野に取り組む中小企業支援を進めることは雇用促進にとっても重要である。年末,年度末の中小企業の資金繰りに万全を期すとともに,本格的な景気回復に向けて切れ目のない対策が必要である。
よって,政府においては,以下の項目を含め,切れ目ない中小企業支援及び金融支援策を早急に決定,実施するよう強く求める。
記
1.中小企業の資金繰り支援策として,2010年度末で期限切れとなる中小企業金融円滑化法と緊急保証制度を再延長し,保証枠を拡大すること。
2.成長分野の事業に取り組もうとする中小企業を支援するため,民間ファンド(産業革新機構)を有効に活用し,リスクマネーの提供を積極的に行うこと。
以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
提出先:内閣総理大臣/財務大臣/経済産業大臣
TPP交渉に反対する意見書
政府は11月9日に,FTA・EPAへの我が国の取り組みがおくれているとの認識のもと,センシティブ品目に配慮を払いつつ,すべての品目を自由化交渉対象とし,高いレベルの経済連携を目指すことなどを内容とする包括的経済連携に関する基本方針を閣議決定した。
この中で,例外なき関税撤廃を原則とするTPP(環太平洋連携協定)に対しては,関係国との協議を開始することを決定している。
米国やオーストラリアなど主要農産物輸出国が加わっているTPPに参加し,すべての農産物関税が撤廃されれば,我が国の食料,農業,農村に壊滅的な打撃を与えることは火を見るよりも明らかである。戸別所得補償等の国内対策で対応できるものではない。
食料自給率50%を目指すことなどを内容とし,ことし3月に国家戦略として閣議決定された食料・農業・農村基本計画の考え方とも大きく矛盾するものである。
本県においても水稲や畜産はほぼ壊滅し,野菜,果実等の生産も多大な影響を受けることが予測される。農業だけにとどまらず,1次産業全体の衰退,地域経済の疲弊等,高知県全体の社会的,経済的活力を減退させることになる。
TPP等を初めとする自由化交渉は,農産物関税の撤廃だけの問題ではなく,人の移動やサービス分野等,あらゆる分野で「国を開く」ことを目的としている。これは,我が国の将来像にかかわることであり,国民の十分な理解と共感のもとに進められなければならない。
ついては,国土と産業の均衡ある発展のため,政府に対し下記事項が実現されるよう要望する。
記
1.例外なき関税撤廃を原則とするTPP交渉には参加しないこと。
2. 各国・地域とのFTA・EPA交渉においては,食料自給率が極端に低い現 状や,将来の食料需給に関する国民の懸念,国土の保全等に十分配慮し,農林水産物の例外品目の確保,十分な国内対策等,国内の関係品目に影響が生じないよう対応すること。
以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
提出先:内閣総理大臣/外務大臣/農林水産大臣/経済産業大臣/内閣官房長官
政府に対し万全の危機管理体制の構築を求める意見書
11月23日に北朝鮮による韓国領延坪島陸上に対して卑劣な砲撃が行われた。
砲撃は朝鮮戦争休戦以来,初めて韓国領土に対して無差別に行われた攻撃であり,北東アジアの平和と安定にとって重大な影響を与えるばかりでなく,我が国の周辺事態にも発展しかねない事態である。
しかしながら,菅直人総理は砲撃発生にもかかわらず,総理公邸での打ち合わせを優先し,発生から2時間以上経過してから官邸入りした。仙谷由人官房長官は砲撃発生から官邸入りまで1時間程度要しており,北澤俊美防衛大臣も防衛省入りしたのは砲撃発生から2時間以上経過していた。国内でのテ口対策の責任者たる岡崎トミ子国家公安委員長は登庁すらしていない。さらに,関係閣僚会議は砲撃発生から6時間以上経過してから行われ,国防に関する重大緊急事態への対処について審議する安全保障会議は開かれなかった。
地方自治体は周辺事態が発生すれば,周辺事態法に基づき関係行政機関の求めに応じ,港湾・空港の使用等,国に協力する。国家の危機管理は国と地方自治体が有機的に連携,協力してなされるものであり,その司令塔たる内閣がこのような危機意識の薄い対応では,我が国の平和・安全・領土を守る体制としてまことに心もとないと言わざるを得ない。
よって,政府に対して万全の危機管理体制の構築を強く求める。
以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
提出先:内閣総理大臣/外務大臣/防衛大臣/内閣官房長官/国家公安委員長
公共交通機関への支援を含む総合的な交通体系の構築を求める意見書
政府は当初,本年6月からの導入を予定していた高速道路等の新料金制度について,二転三転するその足並みの乱れから先送りし,まずは本年6月28日から来年3月末までの間,全国37路線50区間において高速道路の無料化の社会実験を開始した。
しかしながら,高速道路の無料化や受益者負担を基本としない安価な料金設定は,JRやフェリー,バス等との適切な役割分担を損ねるばかりでなく,我が国の交通体系の崩壊につながりかねない。これらの業界にとっては,高速道路等の無料化や安価な料金設定が経営悪化を招き,地域の交通網が縮小することとなり,その結果,自家用車を利用できない高齢者や障害者,学生等の交通弱者の移動手段が確保できなくなるおそれがある。さらには,地球温暖化対策にも完全に逆行するものであり,その整合性については大いに疑義がある。
このように多くの問題を抱えているにもかかわらず,政府は,今後も高速道路等の無料化を段階的に進めるとしているが,この政策が国策によることを考えれば,本来,総合的な交通体系の構築を前提とすべきであり,現政権が今回進めている道路政策によって影響を受けるJRやフェリー,バス等の公共交通機関に対しては,その維持,存続のために公的支援策を同時に講じるべきである。
よって,国においては,平成23年度予算編成において公共交通機関への支援を含む総合的な交通体系の構築に向け,下記の事項を実施されるよう強く要望する。
記
1.公共交通機関の安定的な運営と高速道路等の料金引き下げなどが可能となる総合的な交通体系の構築を図ること。
2.高速道路等と競合し影響を受けるJRやフェリー,バス等の公共交通機関に対しては,事業者の実情を踏まえた支援を講じること。
3.独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構の持つ利益剰余金については,国庫に返納させることなく,JR四国・北海道・九州各社及びJR貨物の財務基盤の安定化や収益基盤の強化のため有効活用できるようにすること。
以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
提出先:衆議院議長/参議院議長/内閣総理大臣/国土交通大臣
国民健康保険に対する国庫負担の増額を求める意見書
国民健康保険の主な財源は,国,都道府県及び保険者の負担金及び被保険者の保険料から成り立っている。
皆保険の基礎をなす国民健康保険は,制度設計された当時に比べ加入者の層が大きく変化している。特に,無職者や年金生活者などの低所得者の占める割合が増加した。
その結果,高齢社会の進行に伴う医療費の増大と相まって国保会計は慢性的な赤字に陥り,加入者の保険料負担は家計の大きな圧迫となり,高すぎて払えないなど収納率低下を招いている。
また,組合健保加入者や共済健保加入者との比較でも,同等の収入であってもその負担額は2倍から3倍も高く,自治体間の保険料の格差も財政力の違い等によって3倍以上の開きが生じているのである。
このまま放置するならば,国民健康保険は制度そのものが根底から崩壊しかねない状態である。
本来なら,低所得者層の加入者の増大に対応して国庫負担をふやすことが不可欠であったが,政府は,1984年まで国庫負担割合としてきた45%を38.5%に引き下げ,そのほか事務費負担の廃止や助産費補助も大幅に後退させてきたことが,今日の国民健康保険をめぐる危機的な状況を生み出した原因である。
国民健康保険法第4条の「国は,国民健康保険事業の運営が健全に行われるようにつとめなければならない。」という国の責務を規定している。
よって,政府においては,国民健康保険制度の安定的かつ健全な運営を図るため,国庫負担割合を少なくとも従前の負担割合に回復することを強く求めるものである。
以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
提出先:内閣総理大臣/財務大臣/厚生労働大臣
公費負担拡大で介護保険制度の改善を求める意見書
厚生労働省の社会保障審議会介護保険部会は,介護保険制度の見直しに関する意見を2010年11月30日に発表した。意見書は,国民が強く求めていた「公費負担を拡大して介護保険を改善せよ」との声について,ほとんど検討しないまま,政府が6月22日に閣議決定したペイアズユーゴー原則を盾に,利用料負担を引き上げ,給付を抑制し,営利企業の参入を目指す内容となっている。
厚生労働省の意見書は,公費負担増を頭から否定した上で,一定所得以上の利用料の2割負担への引き上げ,ケアプラン作成の有料化,介護施設の居住費の要件厳格化,施設の相部屋の居住費徴収,買い物や掃除,調理など,家事をしてもらう生活援助サービスを介護保険制度の対象から外すことなどを示しており,保険あって介護なしという現状をさらに深刻にするものである。
この10年,65歳以上が支払う保険料(全国平均)は,当初の2,911円から現在は4,160円と引き上げてきた。少額の年金に頼る高齢者の負担の限度を超していることは明らかである。介護給付の削減に加えて,軽度と言われる高齢者から必要な介護の取り上げを進めれば,症状が悪化し,在宅生活が一層困難になる懸念がある。また,孤独死,無縁社会として社会問題となっている事態を一層深刻化させることは明らかである。
高齢者は長年にわたって社会に貢献してきた,文字どおり「国民の宝」であり,そうした高齢者が安心して老後を送れるよう,介護や医療,年金などの体制を整えることは文字どおり国と社会の責任である。
そもそも民主党は,昨年9月の総選挙のマニフェストで,介護報酬を加算し介護労働者の賃金を月額4万円引き上げる,療養病床削減計画を凍結し必要な病床数を確保するとし, 8,000億円程度の国庫負担拡大を公約に掲げた。
平成22年版厚生労働白書でも,社会保障分野の総波及効果は公共事業よりも高い。雇用誘発効果も主要産業より高く,介護分野(居宅)は第1位となっており,介護保険への公費の投入は,消費として終わるのではなく,若者の雇用の場を確保し,日本の経済を押し上げる大きな役割を担っている。
よって,政府においては,介護保険法改定に当たって,利用料や保険料負担を拡大するのではなく,公約どおり公費負担を拡大し,介護サービスの充実を行うよう強く求めるものである。
以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
提出先:内閣総理大臣/厚生労働大臣
受診抑制を拡大する70歳から74歳の窓口負担1割の引き上げに反対する意見書
厚生労働省は12月8日,後期高齢者医療制度にかわる新制度を議論している高齢者医療制度改革会議に最終案を示した。
その中で,高齢者の保険料を9割軽減する措置の段階的縮小を新たに打ち出し,70歳から74歳の患者負担を,2013年度に70歳に到達した人から順次,医療費の1割から2割に引き上げる内容を示した。
高齢者の受診抑制については,第4回高齢者医療制度改革会議で,65歳以上の高齢者の所得と受診の関連について行われた調査資料が提出されている。
同調査結果によれば,所得が低いほど過去1年間に治療を控えたことがあると回答しており,年齢の違いを考慮しても,高所得者の 9.3%に対し,低所得者では13.3%が受診を控えているとの結果が示されている。
また,低所得者ほど,その理由として費用を上げる割合が高くなっており,高所得者10.6%に対し,低所得者は32.8%となっている。現在の自己負担でも,高齢者層に受診抑制が起きていることが明らかとなっている。窓口負担の軽減こそ急務であるにもかかわらず,高齢者の窓口負担を現状より引き上げることは容認できるものではない。我が国の窓口負担は,世界的に見て異常に高く,現状でも受診抑制の大きな要因になっている。
また,国民年金は満額でも月6万 6,000円にしかならず,低所得の高齢者の暮らしはとりわけ厳しいものがあり,これ以上の負担増には耐えられないのは明白である。
よって,政府においては,2011年度以降も窓口1割負担を引き上げないこと,低所得者の保険料軽減措置の維持を強く求めるものである。
以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
提出先:内閣総理大臣/厚生労働大臣
将来を見据え大学予算の大幅な増額を求める意見書
来年度予算の概算要求で文部科学省は,国立大学の運営費交付金で5%, 560億円削減し,私立大学の国庫助成では12.6%, 406億円削減している。そのかわりに,元気な日本復活特別枠にプロジェクト的な教育研究費や学費免除枠などの経費を要望していたが,いずれもB,Cと判定とされ,このままでは,危機的な状況にある大学の運営が一層困難になり,さらに国際的に見ても異常に高い授業料のさらなる値上げに結びつきかねない。
日本の大学は,近年のノーベル賞受賞にも見られるように高いレベルの基礎研究を担い,社会発展の担い手を育て,地域社会にも貢献するなど,知的基盤としての役割を果たしている。学術,教育の発展は国家百年の計であり,将来を見据えた大学への投資こそ,21世紀の社会発展に貢献している。
ところが,国立大学は,国からの運営費交付金が法人化以後6年間で 830億円も削減されている。例えば高知大学では,法人化以降,4億 8,000万円が削減され,その規模は,全学部,大学院の1年間の運営経費の63%分,常勤教員54人削減分,授業料の2割・11万円値上げに相当するものとなっている。
11月1日の国立大学協会の声明は,予算削減は,「我が国の高等教育・研究の基盤は根底から崩壊し,回復不可能な事態に立ち至るであろう。諸外国が大学等に重点投資を行い国の発展を図っている中で,我が国の国際的な競争力を失わせ,国力を衰微させていくものと強く懸念される」と警告を発している。
多くの大学で,これ以上予算が減ったら大学はもたないとの強い危機感が示されている。
また,私立大学では,中小私学を中心に定員割れが広がる一方で,国庫助成が削減され続けたために,経営危機に直面する大学が少なくない。
高学費と経済危機のもとで,アルバイトに追われ,満足に学業に専念できない事態や学業をあきらめる学生も急増しており,若者の未来を奪い,日本社会の未来は大きな影を落とす時代が進行している。事態の改善は待ったなしの課題である。
12月7日には,中国・四国地区国立大学長会議は,「人材育成や科学技術分野への投資は,我が国の将来への投資であり,その成果が広く社会へ還元されることで,我が国の将来の発展につながるものです。長期的な展望を持って,今回の評価結果を再考していただき,人材育成・科学技術関係予算を拡充するよう強く要望します」との緊急声明を出している。
政府は,各省庁の予算に1割削減のシーリングをかけ,この方式で大学予算の削減を今後3年間続けようとしているが,こうしたやり方は,学術,教育を崩壊に導き,社会の活力を衰退させるもので,重大な禍根を残すことになる。
よって,政府に対し,将来を見据え大学予算の大幅な増額を求めるものである。
記
1.大学関係予算の削減は直ちに中止し,運営費交付金と国庫助成の拡充など予算増額をすること。
2.教育費負担の軽減(授業料減免措置の拡大,奨学金の充実)措置を拡充すること。
3.1割削減のシーリングの枠組みから,大学関係予算を除外すること。
以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
提出先:内閣総理大臣/文部科学大臣