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本文

第444回市議会定例会 議案審議結果

市長提出議案

議案番号

議 案 名

結 果

市第83号

平成26年度高知市一般会計補正予算

原案可決

市第84号

平成26年度高知市母子父子寡婦福祉資金貸付事業特別会計補正予算

原案可決

市第85号

高知市特別会計設置条例の一部を改正する条例議案

原案可決

市第86号

高知市税条例等の一部を改正する条例議案

原案可決

市第87号

高知市特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業の運営に関する基準を定める条例制定議案

原案可決

市第88号

高知市幼保連携型認定こども園の設備及び運営に関する基準を定める条例制定議案

原案可決

市第89号

高知市家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準を定める条例制定議案

原案可決

市第90号

高知市児童福祉施設最低基準条例の一部を改正する条例議案

原案可決

市第91号

高知市火災予防条例の一部を改正する条例議案

原案可決

市第92号

高知市立旭保育園改築工事請負契約締結議案

原案可決

市第93号

水槽付消防ポンプ自動車購入契約締結議案

原案可決

市第94号

常備消防ポンプ自動車購入契約締結議案

原案可決

市第95号

常備消防ポンプ自動車購入契約締結議案

原案可決

市第96号

訴訟の提起について

原案可決

市第97号

調停の申立てについて

原案可決

市第98号

新図書館等複合施設整備業務委託契約の一部変更議案

原案可決

市第99号

監査委員の選任議案

同   意

市第100号

固定資産評価審査委員会委員の選任議案

同   意

市第101号

人権擁護委員推薦についての諮問議案

異議なき旨答申

議員提出議案

議案番号

議 案 名

結 果

市議第24号

ニホンウナギの生態調査と増殖研究の促進を求める意見書議案

原案可決

市議第25号

栄養教諭・学校栄養職員の増員による食育の充実を求める意見書議案

原案可決

市議第26号

地方財政の充実・強化を求める意見書議案

原案可決

市議第27号

総合的,体系的若者雇用対策を求める意見書議案

原案可決

市議第28号

鳥獣の捕獲促進体制強化の速やかな実施を求める意見書議案

原案可決

市議第29号

中小企業の事業環境の改善を求める意見書議案

原案可決

市議第30号

2015年NPT再検討会議に向けて,日本政府に核兵器全面禁止のための決断と行動を求める意見書議案

原案可決

市議第31号

国民健康保険制度の財政強化を求める意見書議案

原案可決

市議第32号

参議院の選挙制度に関する意見書議案

原案可決

市議第33号

地域包括ケアシステム構築のため地域の実情に応じた支援を求める意見書議案

原案可決

市議第34号

農業・農村対策の推進を求める意見書議案

原案可決

市議第35号

集団的自衛権の行使を容認しないことを求める意見書議案

原案可決

市議第36号

自衛隊統合防災訓練など防災訓練の全容把握・積極周知を求める意見書議案

原案可決

市議第37号

小規模・家族経営農業を破壊する農政改革に反対する意見書議案

原案可決

市議第38号

介護・医療の抜本的充実を求める意見書議案

否   決

可決された意見書の内容


  ニホンウナギの生態調査と増殖研究の促進を求める意見書

 庶民の味覚としてウナギは日本人の最も好む魚であり,殊に夏の土用のうしの日にはウナギを食べる習慣もある。
 しかし,このウナギが近年急速に減っており,養鰻業者は稚魚が高騰しているばかりか,数量を確保できずに廃業する者も出てきている。日本のウナギ消費量は世界の7割と言われており,採捕や養殖から加工販売に至るウナギ産業に与える影響は決して小さくない。
 この背景には,日本固有のニホンウナギの生態が十分に解明されておらず,卵からふ化させ成魚まで育てる完全養殖の研究もまだ成果を上げるまでに至っていないことがあると考える。
 環境省は昨年,国内版レッドリストを発表し,ニホンウナギを絶滅危惧種に指定していたが,本年6月12日に国際自然保護連合(IUCN)が,絶滅のおそれにある野生生物を指定する最新版のレッドリストにニホンウナギを加えたと発表した。しかも8段階あるリストの上から4番目の,近い将来,野生での絶滅の危険性が高い絶滅危惧1B類とされた。
 今後,こうしたニホンウナギの減少傾向が続くと,野生生物の国際取引に関するワシントン条約で規制対象となる可能性が高まる。将来的に稚魚などの国際的な取引が制限され,我が国の食文化にも多大な影響が出ることも予想される。
 IUCNは,個体数減少の原因として,乱獲や生息地の環境悪化,海の回遊ルートの障害,海流変化などを指摘している。
 環境省は,ニホンウナギを保全するため,生息環境を守る指針づくりを始めることとしているが,政府においては,今後,我が国固有の食文化を守っていくため,ニホンウナギの生態調査を徹底して進め,我が国での生息数が急減している原因究明を強化するとともに,完全養殖など増殖の研究を促進するよう強く求める。
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
                       
提出先:内閣総理大臣/文部科学大臣/農林水産大臣/環境大臣


栄養教諭・学校栄養職員の増員による食育の充実を求める意見書

 現行の小学校における学校給食制度は,児童の体位の向上を目指すだけでなく,家庭の負担軽減を図るなど現代社会に定着した制度となってきている。さらに,昨今の学校給食においては,地域の食文化の継承,地産の産物の積極的な取り入れ,米飯の回数増など多様な工夫が見られ,学校内にとどまらず地域の理解と協力のもとに取り組まれている。
 しかし,この制度の中心的な役割を担っている栄養教諭・学校栄養職員の配置基準は,学校給食単独実施校では児童数550人以上の小学校に1人,児童数549人以下の学校は4校に1人の配置が基本となっている。そのため,現場ではかけ持ちでは十分な指導や活動ができないとの声が多く聞かれる。
 殊に最近は,食物アレルギーの子供や,食生活の乱れからくる肥満や成人病予備軍の子供たちもいて,学校教育における食育の重要性は一段と高まっており,専門的な立場での指導や調理の監督のできる栄養教諭・学校栄養職員の増員が成長期の子供を抱える学校や家庭にとっては喫緊の課題である。
 よって,政府においては,食物アレルギー等の個人の課題にも対応したきめ細かな給食を実施するとともに,さらなる食育の充実を図るため,栄養教諭・学校栄養職員の配置基準の早急な見直しを強く求める。
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
                       
提出先:内閣総理大臣/総務大臣/文部科学大臣


地方財政の充実・強化を求める意見書

 被災地の復興,子育て,医療,介護などの社会保障,環境対策など,地方自治体が担う役割は年々拡大しており,地域の財政需要を的確に見積もり,これに見合う地方交付税及び一般財源総額を確保する必要がある。
 また,経済財政諮問会議などで法人実効税率の見直しや償却資産に係る固定資産税の減免などが議論されているが,公共サービスの質の確保を図るためにも,安定的かつ地域偏在性の小さい地方税財源を確立することが極めて重要である。
 地方自治体の実態に見合った歳出,歳入を的確に見積もるためには,国と地方自治体の十分な協議を保障した上で,地方財政計画,地方税,地方交付税のあり方について決定する必要がある。
 よって,公共サービスの質の確保と地方自治体の安定的な行政運営を実現するため,2015年度の地方財政計画,地方交付税及び一般財源総額の拡大に向けて,政府に対し,下記の対策を求める。
                                      記
1.地方財政計画,地方税のあり方,地方交付税総額の決定に当たっては,国の政策方針に基づき一方的に決するのではなく,国と地方の協議の場で十分な協議のもとに決定すること。
2.社会保障分野の人材確保と処遇改善,農林水産業の再興,環境対策などの財政需要を的確に把握し,増大する地域の財政需要に見合う地方財政計画,地方交付税及び一般財源総額の拡大を図ること。
3.復興交付金については,国の関与の縮小を図り,採択要件を緩和し,被災自治体が復興事業により柔軟に活用できるよう早急に改善すること。また,被災地の復興状況を踏まえ,集中復興期間が終了する2016年度以降においても,復興交付金,震災復興特別交付税を継続して確保すること。
4.償却資産に係る固定資産税やゴルフ場利用税については,市町村の財政運営に不可欠な税であるため,現行制度を堅持すること。
5.地方交付税の別枠加算,歳出特別枠については,地方自治体の重要な財源となっていることから現行水準を確保すること。また,増大する地方自治体の財政需要に対応し,臨時的な財源から,社会保障や環境対策などの経常的な経費に対応する財源へと位置づけを改めること。
6.地方交付税の財源保障機能,財政調整機能の強化を図り,小規模自治体に配慮した段階補正の強化,市町村合併の算定特例の終了を踏まえた新たな財政需要の把握について,引き続き対策を講じること。
7.人件費削減など行革指標に基づく地方交付税の算定は,交付税算定を通じた国の政策誘導であり,地方自治,地方分権の理念に反するものであることから,このような算定を改めること。
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

提出先:内閣総理大臣/財務大臣/総務大臣/内閣官房長官


総合的,体系的若者雇用対策を求める意見書

 若者を取り巻く雇用環境は,非正規労働者の増加の中で,中小事業者における離職率の高さや,若年層を恒常的,大量に雇用し,低水準,過酷な労働条件で労働を強いる使い捨て問題や, 180万人と言われるフリーターや60万人のニートの問題など,雇用現場における厳しい状況が続いている。
 若者が働きながら安心して家庭を持つことができるようにすることは,少子化に歯どめをかけるためにも極めて重要であり,政府においては,わかものハローワークや新卒応援ハローワークなどにおける支援や,若者応援企業宣言事業,労働条件相談ポータルサイトの設置,地域若者サポートステーションにおけるニート対策などに取り組まれているところであるが,それぞれの事業の取り組みが異なっており,関係機関において必ずしも有機的な連携がとられている状況ではない。
 よって,若者雇用対策を総合的かつ体系的に推進するための仕組みを構築するため,政府において下記の対策を講じるよう要望する。
                                      記
1.若者雇用に係る総合的,体系的な対策を進めるため,若者雇用対策新法等を制定し,若者本人を支える家庭,学校,地域,国・地方の行政の責務を明確にし,緊密に連携して支援を行える枠組みを整備すること。
2.若者応援企業宣言事業について,中小企業等の認定制度として拡充し,認定企業の支援措置を新設すること。また企業が若者を募集する際の情報開示を促す仕組みを検討すること。
3.大学生等の採用活動後ろ倒しに伴い,新卒応援ハローワークにおける支援措置を強化すること。
4.若者が主体的に職業選択,キャリア形成ができるよう,学生段階からのキャリア教育の充実・強化を図ること。
5.ニート等の若者の孤立化を防ぎ,自立に向けた充実した支援を行うことができるよう地域若者サポートステーションの機能の強化を図ること。
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

提出先:内閣総理大臣/文部科学大臣/厚生労働大臣


 鳥獣の捕獲促進体制強化の速やかな実施を求める意見書

 鹿,イノシシ等による自然生態系への影響及び農林水産業被害が深刻化する中,狩猟者の減少・高齢化等により鳥獣捕獲の担い手が減少している。
 鳥獣の捕獲等の一層の促進と捕獲等の担い手の育成が必要との観点から,政府は今国会において,鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律を改正し,法律の目的に鳥獣の保護だけでなく管理の定義を規定するとともに,保護と管理の施策体系の整理,指定管理鳥獣に定められた鳥獣の集中的かつ広域的に管理を図る事業の創設,一定の条件下での夜間銃猟を可能にする規制緩和,認定鳥獣捕獲等事業者制度の創設など,制度の抜本的な改正を行った。
 法改正により今後鳥獣の捕獲体制が強化されることになるが,政府に対し,施行に当たっては,下記の事項について十分に留意して実施するよう強く要望する。
                                      記
1.都道府県を越えて生息する鳥獣の保護,管理については,国が主導してより効果的な広域対応を行うための仕組みを検討すること。
2.市町村への鳥獣被害防止総合対策交付金の予算を拡充させるほか,新設される指定管理鳥獣捕獲等事業が十分活用されるよう,実施計画を作成した都道府県に対し,財政支援を行うこと。
3.捕獲された鳥獣を可能な限り食肉等として活用するため,衛生管理の徹底による安全性の確保や販売経路の確立,消費拡大への支援などを推進すること。
4.本法では適用除外とされている海獣についても,適切な保護及び管理が図られていないような場合には,速やかに生息情報の収集を図り,除外対象種の見直しなどを行うこと。
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

提出先:内閣総理大臣/総務大臣/厚生労働大臣/農林水産大臣/環境大臣


中小企業の事業環境の改善を求める意見書

 ことしの春闘の大手企業からの回答では,13年ぶりに全体の賃上げ率が2%台となったが,景気全体を支え,地域経済を支える中小企業や非正規社員を取り巻く事業環境は依然厳しいと言える。さらに,消費税8%引き上げに伴う駆け込み需要の反動減も今後予想され,対応策を講じなければならない。
 国際通貨基金(IMF)は3月,日本経済の成長に賃金上昇が不可欠だとする研究報告書を発表し,中小企業や非正規労働者などの賃上げをアベノミクスの課題として挙げている。実質的には,企業の収益力次第で賃上げの可否が左右されてしまうため,政府が掲げる,経済の好循環を実効的なものにするためには,中小企業の収益力向上につながる事業環境の改善が求められる。
 また,中小企業のうち87%を占める小規模事業者が全国で 334万者あり,有能な技術力がありながら人材確保や資金繰りに苦しんでいる。事業の拡張に踏み切れない小規模事業者の潜在力が発揮できるよう充実した成長・振興策も重要である。
 本年は,経済成長を持続的なものにするため,成長の原動力である中小企業が消費税増税や原材料・燃料高などの厳しい環境を乗り切れるよう,切れ目ない経済対策が必要である。政府においては,地方の中小企業が好景気を実感するため,下記の対策を講じるよう強く求める。
                                      記
1.中小企業の健全な賃上げ,収益性,生産性の向上に結びつくよう,経営基盤の強化策及び資金繰り安定化策を図ること。
2.小規模企業振興基本法案を軸に国,地方公共団体,事業者の各責務のもとで,円滑な連携と実効性が高まる制度設計を図ること。
3.中小企業,小規模事業者においても,重要な非正規労働者の正規雇用化を促すよう,キャリアアップ助成金などの正規雇用化策をさらに周知するなど,従業員の処遇改善を図ること。
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

提出先:内閣総理大臣/厚生労働大臣/経済産業大臣/金融担当大臣


2015年NPT再検討会議に向けて,日本政府に核兵器全面禁止のための決断と行動を求める意見書

 2010年5月の核不拡散条約(NPT)再検討会議は,核兵器のない世界の平和と安全を達成することに合意し,全ての国家は核兵器のない世界を達成し維持するために必要な枠組みを築く特別な努力をする必要があると強調した。次回の2015年NPT再検討会議を前に,今,世界の全ての国の政府と市民社会には,この目標を現実に変えるために協力し,行動することが強く求められている。
 しかし,それから4年がたった今も,核兵器のない世界を達成する具体的な道筋は見えていない。米ロ両国間の合意を含め,一定数の核兵器が削減されたとはいえ,世界にはなお1万 7,000発の核兵器が貯蔵,配備され,他方では朝鮮半島をめぐる緊張に見られるように,新たな核開発の動きも続いている。意図的であれ偶発的なものであれ核兵器が使われる危険は現実に存在している。
 この状態を打開し核兵器をなくすためには,国際社会が一致して核兵器を全面的に禁止する以外に方法はない。国際司法裁判所も断じたように,核兵器の使用は,国際人道法の原則と規則に反するものであり,世界で唯一,国民が核の惨禍を体験した日本には,核兵器の非人道性を訴え,その全面禁止を主張する道義的根拠と重い責任がある。
 今,核兵器を持つわずかな数の国が決断すれば,核兵器禁止条約の交渉を開始できる条件が生まれている。この決断と行動をおくらせることは,第2,第3のヒロシマ,ナガサキにつながる危険を放置することになる。
 さらに,北朝鮮の核開発をめぐって軍事的緊張が高まっている中で,国際紛争の解決手段としての武力行使と威嚇を憲法で放棄した日本が核兵器全面禁止のために行動することは,朝鮮半島の非核化,日本と東アジアの平和と安全を促進する上でも極めて重要である。
 2013年10月,核兵器の人道的影響に関する共同声明が 125カ国の連名で発表された。この声明は,核兵器の残虐性,非人道性を告発し,核兵器のない世界へ前進することを目指しており,核兵器がいかなる状況のもとでも決して再び使われないことが人類生存の利益であると述べ,核兵器が使用されないことを保証する唯一の道は,その全面廃絶であるとし,全ての国が核兵器使用の阻止,核軍縮などのために,責任を負っていることを強調している。
 共同声明に日本政府も賛同したことは,唯一の被爆国であり,憲法の平和原則と非核三原則を掲げる国として当然の姿勢である。しかしこれで問題が終わったわけではない。核兵器は全面的に禁止されるべきである。
 よって,2015年NPT再検討会議に向かって,核兵器のない世界への行動が直ちに開始されるよう,ジュネーブの軍縮会議(CD)を初め,核軍縮・廃絶と安全保障にかかわる諸機関で,共同声明の署名国として,日本政府が,核兵器全面禁止条約の交渉開始のために努力するよう要望する。
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

提出先:内閣総理大臣/総務大臣/外務大臣


国民健康保険制度の財政強化を求める意見書

 国民健康保険制度の基盤強化に関する国と地方の協議(国保基盤強化協議会)で,国保広域化・都道府県単位化が議論され平成29年度の導入が狙われている。広域化までの国保会計の赤字解消を理由に,多くの自治体で,国保料の値上げが行われている。
 国保基盤強化協議会では,国が,国保の構造的な問題の解決に責任を持つという前提に基づき協議に入った経過があるが,実情は,都道府県と市町村の役割分担に関する議論だけが先行している。
 全国知事会は6月2日,国民健康保険制度の財政基盤強化についてとの要望書を出し,「国には,国保の被保険者の負担が限界に近づいていることを改めて認識し(中略)追加国費の規模も含めた抜本的な財政基盤強化の具体策を一刻も早く提示するよう強く要望する」とし,構造的問題解決の道筋が示されない場合には,協議から離脱すると表明している。
 国保料が払えない世帯は372万2,000世帯と加入世帯の2割近い水準となっている。国保加入者の所得水準は健保組合加入者の4割であるが,保険料の平均負担は健保加入者の約2倍という,低い所得で高い保険料を負担するという構造的な問題が生じており,このままでは,国民皆保険制度の最後の支え手である国保は存続の危機にあると言える。
 また,国保は世帯人数で賦課されるため,子供が多いほど,保険料が高くなる少子化対策に逆行する制度となっている点も構造的問題である。
 現在,国保の全収入における国庫負担の割合は約25%となっており,これを抜本的に引き上げることなしに,国保の構造的問題は解決できない。
 よって,政府に対し,国民健康保険制度の財政強化に向け,国庫負担を抜本的に引き上げることを強く求める。
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

提出先:内閣総理大臣/財務大臣/厚生労働大臣


参議院の選挙制度に関する意見書

 平成22年7月施行の参議院選挙区選挙に係る1票の格差に対して最高裁判所が違憲状態との判決を下したのを受けて参議院に設置された選挙制度協議会において,東京などの有権者の多い都道府県選挙区に改選定数を加配し,有権者の少ない県選挙区を隣接府県と合区させるとの座長案が示された。
 都道府県を単位とする地方代表を国会(参議院)に送り出す現行制度は,国民の大多数に浸透しており,歴史的,地理的及び住民の心情的な面からも相当の妥当性があると言える。
 隣接しているとはいえ異なる府県を同一選挙区とする座長案は,1票の格差是正や人口基準にこだわる余り,地方の実情を軽んじており,到底容認できるものではない。
 参議院の選挙制度改革は,選挙区の合区による数字合わせに終始することなく,まずは国会全体で衆参両院の組織構成や権限のあり方の議論を深めた上で進めるべきである。
 よって,本市議会は,参議院選挙制度協議会に提出された座長案に反対するとともに,国会に対し,地方代表を選出するための都道府県単位の選挙区を堅持するよう強く要望する。
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

提出先:衆議院議長/参議院議長


地域包括ケアシステム構築のため地域の実情に応じた支援を求める意見書

 現在,本年度の診療報酬改定や国会における,地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律(地域医療・介護総合確保推進法)の議論により,改めて地域包括ケアシステムの構築がクローズアップされている。
 全国の自治体では,平成27年度からの第6期介護保険事業計画の策定に向けて,いわゆる2025年の姿を展望しながら,増嵩する保険料などに苦慮しながら取り組みを行っている。
 よって,政府に対し,社会保障・税一体改革の円滑な進行のために,本年4月から引き上げられた消費税財源を的確に活用しながら,全国の自治体のそれぞれの実情に応じて,国の積極的な支援を図るよう,下記の事項を要望する。
                                      記
1.医療,介護,福祉の良質な人材を確保するため国家戦略として抜本的な対策を講じること。特に介護人材については,2025年に向けてさらに 100万人のマンパワーが必要とされており,次期介護報酬改定に向けて的確な対応を行うこと。
2.今回の診療報酬改定について,在宅訪問診療に係る改定が行われたが,市区町村の現場において集合住宅などへの訪問診療が大きな影響を受けることも想定されるため,改定の影響について実態調査を行い,適切な対応を行うこと。
3.地方自治法の改正により創設される連携協約制度の活用など,広域行政上の取り組み事例の周知など,市区町村への適切な情報提供に努めること。
4.社会保障・税一体改革の趣旨に沿い,平成26年度に引き続き,消費税を財源とする財政支援制度を拡充すること。また,本年度の基金については趣旨に沿い,適切な配分に留意すること。
5.特養待機者52万人という数字が発表されたが,特養入所者の重点化に伴い,自立した生活を送ることが困難な低所得,低資産の要介護高齢者の地域における受け皿づくりについて,市区町村への支援を強化すること。
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

提出先:内閣総理大臣/総務大臣/厚生労働大臣 


農業・農村対策の推進を求める意見書

 環太平洋経済連携(TPP)協定交渉については,本年4月の日米首脳会談で懸案の解決に向けた道筋が特定されたことを受け,現在,日米間では,牛肉,豚肉の関税の大幅な引き下げや緊急輸入制限措置の設定とその発動条件等についての協議が進められている。
 このようなTPP協定交渉の進捗いかんにかかわらず,我が国の農業には,生産者の減少と高齢化の進展,耕作放棄地の増加等の構造的問題に加え,燃油価格や農業生産資材の高騰への対応等の課題が山積している。
 よって,こうした現状に鑑み,地域農業や農村の維持・発展のため,政府に対し,下記の事項を強く要望する。
                                      記
1.TPP協定により打撃を受けることが懸念される国内農林水産業や地域経済に及ぼす影響を踏まえ,米,麦,牛肉・豚肉,乳製品,甘味資源作物等の重要5品目を関税撤廃の対象から除外するとともに,食料安全保障の確保,食品の安全,安心の確保等の懸念が現実のものとならないようにすること。
2.農業生産・農村生活環境基盤等の整備,鳥獣被害防止対策の充実・強化,生産者の経営安定対策の強化,担い手の育成,6次産業化の推進,農作物等の輸出促進等の施策をこれまで以上にきめ細かく講じていくこと。
3.農業,農村の有する多面的機能の維持向上を図るため,園芸農業が盛んな地域や急峻な農地が多い中山間地域等の生産条件不利地域を対象とした施策を講じること。
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

提出先:内閣総理大臣/農林水産大臣/経済財政政策担当大臣 


集団的自衛権の行使を容認しないことを求める意見書

 安倍首相は本年5月15日,首相の私的諮問機関である,安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(安保法制懇)の報告を受けて記者会見し,これまで歴代政権が憲法上行使できないとしてきた,集団的自衛権の行使,国連の安全保障に名をかりた,多国籍軍への参加などに大きく踏み出す決意を表明した。しかしこれは,戦後日本が憲法を中心に戦争しない国づくりを行ってきたことから全く逆の方向に転換することである。
 これまで代々の政府は,集団的自衛権とは,自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を,自国が直接攻撃されていないにもかかわらず実力をもって阻止する権利であり,憲法9条のもとで許容されている自衛権の行使は,我が国を防衛するため必要最小限度の範囲にとどめるべきもので,集団的自衛権行使はその範囲を超えるものであって認められないとしてきた。
 憲法の考え方が一内閣の解釈変更によって大きく変わることは,憲法の最高法規性を奪い,政府への国民の信頼,ひいては国際的な信頼をも失うものになる。憲法によって権力者の行動を制約するという立憲主義の立場を変更するべきではない。
 このような重大な問題については,もっと国民的な議論を深めるべきであり,政府に対し,解釈変更による集団的自衛権行使を容認しないことを求める。
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

提出先:内閣総理大臣 


自衛隊統合防災訓練など防災訓練の全容把握・積極周知を求める意見書

 自衛隊統合防災訓練(本年6月2日から6日まで),南海レスキュー26(本年6月1日から11日まで)が行われ,高知市を含む県内自治体でも,防災訓練が実施された。
 防災訓練自体は,重要な取り組みであり,安全性や生活環境に配慮しながら,効果的な訓練がなされることが重要である。防災訓練に当たっては,県民の理解,協力が不可欠であるが,上記訓練の中身や全体像がほとんど知らされていない状況だった。
 県は,本年2月の訓練への米軍輸送機オスプレイ参加に対して,県民の安全性への強い懸念を踏まえ,十分な安全が確保されることを基本に,積極的な対応を行った。また,2012年6月に学校課業日に,高知市内の旭中学校,高知商業高校のグラウンドを使用しての訓練に,学校関係者などから強い批判の声が寄せられ,訓練内容が大幅に変更されるという事態も発生している。これらのことは訓練内容の全容を把握する重要性を示している。
 災害発生時の対応は,県や市町村が設置する災害対策本部の指揮下において,統一的に実施されることが前提である。その点からも,防災訓練の全容を把握し,住民に周知して,真に効果的な訓練となるよう県と市町村が連携していくことが必要である。
 よって,高知県においては,下記の事項に取り組むことを求める。
                                      記
1.県民の理解,協力を不可欠とする防災訓練の全容について,県として積極的に情報を収集し,市町村,住民に対して,周知,公表すること。
2.安全性の確保や生活環境への影響について,県としてチェックし,問題点があれば改善の要望を行うこと。
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

提出先:高知県知事 


小規模・家族経営農業を破壊する農政改革に反対する意見書

 本年6月14日の参議院本会議において,担い手経営安定法,多面的機能促進法の農政改革2法案が成立した。
 担い手経営安定法は,交付金対象を選別して現行の対象戸数の半減以下とし,交付基準も耕作面積から生産数量を基本に変更し,農業の家族経営と地域営農を一層困難にするものである。農業の多面的機能促進法は,担い手経営安定法と一体に,農業の構造改革を推進し,参入企業などが経営規模を拡大しやすいように水路や農道等の管理を地域住民に分担させることが要点となっている。
 これらは,安倍内閣が進める農政改革の一環であるが,その基本方向となる規制改革会議農業ワーキンググループ(作業部会)の農業改革に関する意見書では,(1)農業委員会の公選制廃止など全面見直し,(2)農業生産法人の要件を緩和し農業への企業参入を拡大する,(3)全国農業協同組合中央会(JA全中)の廃止などが求められている。
 安倍農政改革の特徴は,TPPの早期妥結を前提に,農業委員会制度を中心とする農民主体の仕組みを変え,農業への企業参入を自由化する点にあり,このまま推進すれば,小規模な家族農業の営農は困難となることは明らかである。
 一方で,2014年は,飢餓の根絶と,天然資源の保全において,家族農業が大きな可能性を有していることを強調するため国連において,国際家族農業年と定められている。
 日本においても,農業をめぐる状況が厳しい中,生き生きと農業に取り組んでいる地域の多くでは,専業農家とともに,兼業農家や高齢者,女性などを含む多様な家族経営農業が協力し合っている。高知県下でも,小規模・家族経営で農業が支えられている実態がある。今,必要なのは,日本の農業を支えてきた家族経営農業を破壊することではなく,可能な限り維持しその活力を引き出していくことである。国際家族農業年で示されているように,それこそが我が国が,世界の食料・農業問題の解決に貢献する道である。
 よって,政府に対し,小規模・家族経営農業を破壊する農政改革を中止し,多様な家族農業を守り発展させることを強く求めるものである。
 以上,地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

提出先:内閣総理大臣/農林水産大臣