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高知県は日本の珊瑚漁業の発祥の地
宝石珊瑚の加工技術も世界最高レベル
珊瑚は造礁性珊瑚(浅い海域でサンゴ礁を形成)と非造礁性珊瑚に分類され、水深80〜1200mの深海に生息する宝石珊瑚は後者に含まれる。宝石珊瑚の希少価値は年々高まっている。そのため、貴重な自然資源を残していくことを目的に、宝石珊瑚増養殖事業「宝石珊瑚の森・育成プロジェクト」(NPO法人宝石珊瑚保護育成協議会)が始動。平成27年に宝石珊瑚の禁猟区である高知県柏島沖に生育環境を整備。平成28年には増養殖の研究も成果を得ている。
高知県は日本の珊瑚漁の発祥地であり、国内で産出される宝石珊瑚の原木の入札は全て高知県で行なわれている。高知県沖で採取される宝石珊瑚には極めて稀少価値が高いアカサンゴ(血赤サンゴ)をはじめ、モモイロサンゴ、シロサンゴなどがあり、同じ種類でも色のバリエーションは多い。宝飾品などに用いられるのはその骨軸で、研磨すると唯一無二の美しい艶を発して魅了する。美術・工芸作品から、立体彫刻作品、念珠、アクセサリー、ジュエリーなど幅広く加工されており、伝統を継承してきた高知県の加工技術も世界最高レベルとして高く評価されている。
宝石珊瑚の歴史
古来より祈祷や装身具として用いられ、珍重されてきた宝石珊瑚。元々は地中海のみで採取されていた宝石珊瑚が日本で発見されたのは江戸時代の終わり頃で、土佐藩内の地理、 産物などを記録した文献「南路志」には、文化10(1813)年に宝石珊瑚が室戸岬や足摺岬周辺で産出することが記されている。天保年間(1830〜1843年)には宝石珊瑚の採取網が考案されているが、土佐藩では珊瑚の所持や販売は禁止されていた。明治時代になってから主産地である高知県で原木オークションが行われるようになり、日本の宝石珊瑚産業の中心地となっていった。
協力:(株)ワールドコーラル、清岡珊瑚店
宝石珊瑚の主なお問合せ先
日本サンゴセンター 宝石珊瑚資料館「35の杜」
高知県高知市仁井田187-3 Tel.088-847-3535
開館時間/10:00~17:00(オフ時期は16:00閉館) 休館日/年末年始12/30~1/3 http://35c.co.jp/gallery/
光沢が美しい血赤サンゴのネックレス。色合いが似ている 艶がある丸珠に研磨され、金の装飾があしらわれた
地中海サンゴよりも粒子が細かく鮮明な赤色で希少性が高い。 血赤サンゴのペンダントトップ。